文系出身者で理系知識がゼロの場合、1年目に理論科目を合格することが、まずはクリアすべき目標になると思います。

なぜなら、理論科目が、他の科目の文字通り「理論的なベース(土台)」になっているからです。

そして、理系知識ゼロの場合、理論と並行して数学や物理の基礎知識を勉強する必要があるため、それにかなりの時間を費やす必要があります。

何事も始めが一番難しいといわれる通り、知識ゼロから理論の内容を理解できるまで積み上げるのが、一番大変です。そして、理論が理解できていれば、その他の科目を積み上げていくのが楽になります。

私のような文系出身者で理系知識ゼロの人が、定番といわれる電験3種理論のテキスト(例えばオーム社の完全マスターや電気書院のこれだけシリーズ)を勉強しようとしても、1ページ目から全く理解不能のため、挫折してしまいます。私もそうでした。

はっきり言って、ここが一番高いハードルです。

私がこのハードルを乗り越えることができたテキストは、「電験3種超入門 (理論編)」(池田裕著、エコテクノ出版)でした。見た目は自費出版のような本ですが、ジュンク堂や三省堂など大きな書店には置いてありますし、アマゾン等のネット書店でも購入可能です。

この本の良いところは、前書きに書かれている通り、内容が「電験3種の初心者を一気に合格レベルに引き上げるための本」で、入門書ではなく電験3種理論の範囲が網羅されていることです。必要な数学や物理・化学の知識も巻末にコンパクトにまとまって書いてありますので、いちいち他の参考書を参照する必要がありません。

内容は、一般の電験3種のテキストと異なり、文章主体でたとえ文系出身者でも電気理論が一から理解できるように丁寧に説明されています。テキストというより講義録のような感じで、ある程度文章を読みなれた人(読解力に自信がある人)向けの本です。理系より文系の人に向いているかも知れません。

あと、優れている点は、必要な公式のゴロ合わせが書いてあり、公式の暗記に非常に役に立ちます。

ただ文章の量が半端なく多いので、読んでいてなかなか前に進まないです。しかし、一般のテキストを意味が分からないまま読み進めていく苦痛に比べれば、理解を伴う読書なので我慢できると思います。

オーム社や電気書院から出ている定番のテキストで勉強したい方は、この本を一度読んでから始めると、文系出身者でも理解しやすいかもしれません。

この本を読み通せて、公式のゴロ合わせを覚えて公式がすらすら書けるようになれば、次は過去問に取りかかれます。